用途地域を選択することで隣地斜線による制限高さを確認できるツールです。各種の緩和(高低差・セットバック等)にも対応しています。
次のような方におすすめです
- 隣地斜線制限の立上げ高さは20m?31m?勾配はいくつだったっけ?
- 高低差やセットバックがある場合の緩和を簡単に計算したい
- 2つの用途地域にまたがる場合の取り扱いを確認したい
すぐに計算ツールを使いたいときは目次の「★隣地斜線計算ツール」をクリックしてください。
隣地斜線制限の根拠法文
根拠法文:建築基準法 第56条 第1項 第2号、建築基準法施行令 第135条の3
二 当該部分から隣地境界線までの水平距離に、次に掲げる区分に従い、イ若しくはニに定める数値が一・二五とされている建築物で高さが二十メートルを超える部分を有するもの又はイからニまでに定める数値が二・五とされている建築物(ロ及びハに掲げる建築物で、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内にあるものを除く。以下この号及び第七項第二号において同じ。)で高さが三十一メートルを超える部分を有するものにあつては、それぞれその部分から隣地境界線までの水平距離のうち最小のものに相当する距離を加えたものに、イからニまでに定める数値を乗じて得たものに、イ又はニに定める数値が一・二五とされている建築物にあつては二十メートルを、イからニまでに定める数値が二・五とされている建築物にあつては三十一メートルを加えたもの
イ 第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域内の建築物又は第一種住居地域、第二種住居地域若しくは準住居地域内の建築物(ハに掲げる建築物を除く。) 一・二五(第五十二条第一項第二号の規定により容積率の限度が十分の三十以下とされている第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域以外の地域のうち、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物にあつては、二・五)
ロ 近隣商業地域若しくは準工業地域内の建築物(ハに掲げる建築物を除く。)又は商業地域、工業地域若しくは工業専用地域内の建築物 二・五
ハ 高層住居誘導地区内の建築物であつて、その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の三分の二以上であるもの 二・五
ニ 用途地域の指定のない区域内の建築物 一・二五又は二・五のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの
建築基準法 第56条 第1項 第2号
隣地斜線制限は、隣地間の採光・通風等環境上の理由から設けられており、用途地域によって基準となる数値が変わってきます。一覧表にまとめると下記の通りです。
区分 | 用途地域 | 立上げ高さ | 勾配 |
ー | 第一種低層住居専用地域 | ー (10m又は12mの絶対高さ制限があるため適用除外) | |
第二種低層住居専用地域 | |||
田園住居地域 | |||
イ | 第一種中高層住居専用地域 | 20m | 1.25 |
第二種中高層住居専用地域 | |||
第一種住居地域 | |||
第二種住居地域 | |||
準住居地域 | |||
ロ | 近隣商業地域 | 31m | 2.5 |
商業地域 | |||
準工業地域 | |||
工業地域 | |||
工業専用地域 | |||
ハ | 高層住居誘導地区内の建築物であつて、その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の2/3以上であるもの | ||
二 | 用途地域の指定のない区域 | 20m or 31m | 1.25 or 2.5 |
特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定める |
なお、2以上の地域にまたがる場合は、用途地域ごとに分けて隣地斜線を検討する必要があります。
隣地斜線制限の緩和
高低差緩和
建築物の敷地の地盤面が隣地の地盤面(隣地に建築物がない場合においては、当該隣地の平均地表面をいう。次項において同じ。)より一メートル以上低い場合においては、その建築物の敷地の地盤面は、当該高低差から一メートルを減じたものの二分の一だけ高い位置にあるものとみなす。
建築基準法施行令 第135条の3 第1項 第2号
みなし地盤面は、地盤面+(高低差-1m)/2で表すことができます。
セットバック緩和
立上げ高さ(20m or 31m)を超える部分を、隣地境界線から後退(セットバック)した場合、その後退距離※と同じだけ、本来の隣地境界線より外側に隣地境界線があるものとみなすことができます。
※後退距離とは、「建築物から隣地境界線までの水平距離のうち最小のもの」をいい、地盤面下の部分を除くほか、軒・庇・バルコニー・出窓・屋外階段等も含めた建築物全体のうち境界線に最も近い点で算定します。(法第56条 第2項)
公園、広場、水面等に接する場合の緩和
隣地境界線が公園、広場、水面その他これらに類するものに接する場合、その幅の1/2だけ外側にあるものとみなします。
天空率による緩和
ある点から見た半球における空の割合を天空率といいます。計画建築物の天空率が適合建築物(斜線制限を満足する最大ボリューム)の天空率より小さいことをいくつかのポイントで確認してすべて適合していれば斜線制限を超えて計画することができます。
天空率を求めるには、生活産業研究所のADSをはじめとした専用のソフトが必須です。専門的な知識も必要になりますので、ここでは制度のご紹介にとどめます。
★隣地斜線制限計算ツール
合わせて使いたいツール
道路斜線制限
道路斜線・隣地斜線・北側斜線等のうち、最も厳しい高さが適用されます。
北側斜線制限・高度地区
住宅系の用途地域で北側斜線制限がかかる場合や、自治体で高度地区が指定されている場合はこちらも要チェックです。
日影規制
斜線制限だけでなく、日影規制による高さの検討も忘れずに行いましょう。規制のない地域でも北側に住居系の用途地域がある場合は要注意です。
コメント