居室の採光計算を簡単に行うことができる自動計算ツールです。必要採光面積、採光補正係数、有効採光面積をそれぞれ求め、適否の判定が可能です。採光補正係数からの逆算で必要最小窓面積もわかります。
次のような方におすすめです
- アプリ感覚で簡単に採光計算を行いたい
- 居室の数が多すぎて採光チェックが追い付かない
- 一級建築士試験を控えているが、何度法文を読んでもしっくりこない
- 採光補正係数の修正がややこしくて間違えそう
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採光計算の根拠法文
関係法令:建築基準法 第28条第1項、建築基準法施行令 第19条・第20条
住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、五分の一から十分の一までの間において居室の種類に応じ政令で定める割合以上としなければならない。
建築基準法 第28条第1項
政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物又は延べ面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その延べ面積の合計)が千平方メートルをこえる建築物については、廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火栓、スプリンクラー、貯水槽その他の消火設備、排煙設備、非常用の照明装置及び進入口並びに敷地内の避難上及び消火上必要な通路は、政令で定める技術的基準に従つて、避難上及び消火上支障がないようにしなければならない。
建築基準法 第35条
関係法文 | 居室の種類 | 割合 | |
法第28条 | (1) | 幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校又は幼保連携型認定こども園の教室 | 1/5 |
(2) | 保育所及び幼保連携型認定こども園の保育室 | ||
(3) | 住宅の居住のための居室 | 1/7 | |
(4) | 病院又は診療所の病室 | ||
(5) | 寄宿舎の寝室又は下宿の宿泊室 | ||
(6) | 児童福祉施設等の寝室(入所する者の使用するものに限る。)、児童福祉施設等(保育所を除く。)の居室のうちこれらに入所し、又は通う者に対する保育、訓練、日常生活に必要な便宜の供与その他これらに類する目的のために使用されるもの | ||
(7) | (1)の項に掲げる学校以外の学校の教室 | 1/10 | |
(8) | 病院、診療所及び児童福祉施設等の居室のうち入院患者又は入所する者の談話、娯楽その他これらに類する目的のために使用されるもの | ||
法第35条 | <無窓居室判定> | 1/20 | |
ただし、同表の(1)の項から(6)の項までの上欄に掲げる居室のうち、国土交通大臣が定める基準に従い、照明設備の設置、有効な採光方法の確保その他これらに準ずる措置が講じられているものにあつては、それぞれ同表の下欄に掲げる割合から十分の一までの範囲内において国土交通大臣が別に定める割合とする。 |
住宅における採光の緩和
令和5年の法改正により、床面において50lx以上の照度を確保できる照明設備を設置する居室にあっては1/10以上でよいこととなりました。
確認申請図書と明示すべき事項を明確にすべき、とのパブリックコメントに対して国土交通省が以下の回答をしています。
平面図や電気設備の詳細図に
・照明設備の設置位置
・50lx以上の照明設備を設置する旨
を明示していただくことを想定しており、今後、技術的助言において改めてお示しする予定です。
緩和を適用する場合は、照明設備の照度計算を行い床面の照度を確かめる必要がありますので、以下の照度計算ツールを合わせてご利用ください。居室の床面すべてにおいて50lxの照度が求められますので、逐点法によって最も不利な点の照度計算をするのが良いでしょう。
採光補正係数の計算式
採光補正係数の求め方は以下の通りです。方位は計算に影響しません。
採光補正係数 $$A=\frac{d}{h}×α-β$$
d:建築物の各部分から隣地境界線までの水平距離
h:窓の中心から直上の建築物の各部分までの垂直距離
α:表2参照
β:表2参照
用途地域 | α | β | D |
住居系地域 | 6.0 | 1.4 | 7m |
工業系地域 | 8.0 | 1.0 | 5m |
商業系地域または無指定区域 | 10 | 1.0 | 4m |
Aの修正値(ただし、A≦3) | |||
道に面しない場合 | d≧D、A<1 のとき | A=1 | |
d<D、A<0 のとき | A=0 | ||
道に面する場合 | A<1 のとき | A=1 |
上記表からもわかる通り、採光補正係数はマイナスにはなりません。必ず、0以上かつ3以下になります。
備考
- 窓が道に面する場合は、その道の反対側の境界線までとし、公園・広場・川等に面する場合は、その幅の1/2だけ外側にあるものとみなす
- 天窓の場合は、A×3を採光補正係数とする
- 窓の外側に縁側(ぬれ縁を除き、幅≧90cm)がある場合は、A×0.7を採光補正係数とする
- 障子・ふすま等で仕切られた2室は1室とみなす(3室は✕)
★採光計算ツール
まとめ
最後に要点をまとめます。
- 居室の床面積や用途に応じた有効開口面積が必要
- 照明設備の設置による緩和もある
- 用途地域や開口の位置、道路との関係により採光補正係数が変わるが方位は関係ない
- 採光補正係数について、天窓は3倍、縁側は0.7倍になる
- ふすま等により2室を1室とみなすことができる
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