【自動計算】雨樋の排水計算|降雨量から竪樋・軒樋のサイズを算出

クッタ―の公式トリチェリーの定理を用いて、降雨量から雨樋(軒樋、竪樋)の排水量勾配必要サイズが算出できる自動計算ツールです。具体的な手順も解説付きで記載していますので、径深や潤辺などの専門用語が分からない方でも簡単に雨樋の選定が可能です。

次のような方におすすめです

  • はじめて雨樋の設計を行う
  • 公式が複雑で計算ミスが心配
  • 近年のゲリラ豪雨多発を受け雨樋の設計を見直したい

すぐに計算ツールを使いたいときは目次の「★雨樋計算ツール」をクリックしてください。

目次

雨樋の重要な役割

雨樋は決して見栄えのいいものではありません。しかし「かっこ悪いから」と雨樋をつけない設計をすると、後々必ず問題が起こります。しっかりとその役割を確認して雨の道をデザインしましょう。うまく雨仕舞がデザインされた建築は、長く美しい姿を保ちます。

豪雪地帯や台風被害が多い地域では、破損しやすいのであえて雨樋をつけない場合もあるようですが、個人的には強度を高めてでも設置したほうがいいと思います。

①外壁や基礎の劣化抑制

もし雨樋がなかったら(排水能力が不足していたら)、一部の雨は軒下を伝い外壁を濡らして変色の原因となります。また、一部は地面に落ちて跳ね返った水や泥が基礎を汚します。結果、建物の美観を損なうだけでなく、細かいクラックや外壁の隙間から雨水が侵入し、躯体を腐食させて建物の寿命を縮めてしまうのです。

②騒音の予防

トタンやポリカーボネート波板の屋根、それから見落としやすいところでは空調の室外機や物置小屋等は、雨が落ちると大きい音が発生します。それが雨が降っている間中ずっと鳴り続けるわけですから、夜なんか気になって寝られません。心身の不調の原因にもなってしまいます。

③近隣への配慮

特に建物が密集している地域では、雨樋がないと隣地の建物まで雨水が到達します。お隣の建物を傷めてしまったり、騒音によってクレームが発生してしまう恐れがあります。

雨樋計算の手順

STEP
雨水排水計画を作成する

まず雨水排水計画を作成する必要があります。屋根の形状、インフラの状況、竪樋の径をどこまで揃えるか等、建物ごとに個別の解があります。未作成であればここから着手してください。

雨樋のメンテナンス性も重要です。落ち葉等により詰まったりすると本来の性能が発揮されません。

STEP
1本の竪樋が負担する屋根投影面積(A)を求める

雨水排水計画を参照しながら1本の竪樋が負担する最大の屋根投影面積(A)を求めます。屋根の水平投影面積だけでなく、斜めに降る雨を考慮して外壁面積の50%を加算すると安全です。

屋根面積が広い場合は負担面積を分割して複数の竪樋で排水します。マンションや工場ではスパンごと(柱の前など)に竪樋を落とすことが多いです。水上の頂点が分割ライン上に乗るように勾配を計画してください。

STEP
降雨強度(N)の設定

降雨強度(N)を設定します。基本的には設計者の判断によりますが、気象庁発行の「日本の気候表」に記載されている地域別降雨強度を1時間あたりに換算したものを参照する場合が多いです。近年の異常気象で180mm/hや210mm/hなど独自の社内基準を設けている設計事務所やデベロッパーもありますので、独断せず関係者で早期に合意形成することが望ましいです。

STEP
1本の竪樋が負担する降雨量(Q1)を求める

下記計算式により1本の竪樋が負担する降雨量(Q1)を求めます。

降雨量の計算式
$$ Q1=N・f・A $$ Q1:降雨量[m3/s]
N:降雨強度[m/s]
A:落とし口1ヶ所あたりの負担面積[m2]
f:流出係数(屋根の浸透性を示す係数。通常はf=1.0)

STEP
軒樋の排水量(Q2)を算出する

下記計算式により軒樋の排水量(Q2)を求めます。

軒樋の排水量
$$Q2=\frac{1}{K}・S・V1$$ Q2:排水量[m3/s]
K:流量安全係数(1.5)
V1:雨水排水流速[m2/s]

クッタ―の公式
$$V1=\frac{23+\frac{1}{n}+\frac{0.00155}{i}}{1+(23+\frac{0.00155}{i})・\frac{n}{\sqrt{m}}}・\sqrt{m・i}$$ n:表面粗度係数
i:勾配
m:平均流体深さ(径深)

※表面粗度係数とは、樋の表面素材の粗さを表す係数です。数値が小さいほど滑らかになり、流速が上がります。

平均流体深さ(径深)
$$m=\frac{S}{ℓ}$$ S:排水断面積[m2]
ℓ:潤辺長さ[m]

※潤辺とは、満水時に水が接する断面周長の合計で、半円型の場合「内半径×円周率」、角型の場合「幅+高さ×2」となります。

STEP
竪樋の排水量(Q3)を算出する

下記計算式により竪樋の排水量(Q3)を求めます。

トリチェリーの定理
$$\begin{eqnarray}Q3&=&C・A’・V2 \\ &=& C・A’・\sqrt{2gh}\end{eqnarray}$$ C:流量係数(0.6)
A’:排水断面積[m2]
g:重力加速度(9.8)[m/s2]
h:水頭高さ[m]

※水頭高さとは
 ①勾配屋根の場合:軒樋の有効高さ
 ②陸屋根の場合:防水層の有効高さ(オーバーフロー管の下端まで)

STEP
“降雨量≧樋の排水量”となっているか確認する

Q1≦Q2、Q1≦Q3となっていれば適合です。

★雨樋計算ツール

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